居住用賃貸建物の取得等に関わる消費税の仕入税額控除

【消費税計算上の取り扱い】

居住用賃貸建物の取得等に関わる消費税は、仕入税額控除が出来ない

⇒支払った消費税は『控除対象外消費税等』
 となる
令和2年の消費税改正により、居住用賃貸建物の取得等に係る課税仕入れ等の税額について仕入税額控除の対象外となりました。

そのため、賃貸収入を目的に不動産を購入し、建物部分の購入価額に対して消費税を支払ったとしても、その消費税は仕入税額控除ができず、『控除対象外消費税等』となります。
【居住用賃貸建物に該当する要件】

①住宅貸付用に供しないことが明らかな建物
 以外の建物

②下記のいずれかに該当
・高額特定資産
 (1取引単位税抜1,000万円以上の棚卸資産
 又は調整対象固定資産)

・調整対象自己建設高額資産

⇒税抜1,000万円未満は仕入税額控除できる
『居住用賃貸建物』とは、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するものです。

『住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物』とは、建物の構造や設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいいます。

例えば、その全てが店舗である建物など建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかであることが必要です。

また、不動産売買業において売却用に購入した居住用の物件を棚卸資産として計上している場合も、住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかであるため、『居住用賃貸建物』に該当しません。

『高額特定資産』とは、一の取引単位につき、課税仕入れ等に係る支払対価の額が税抜き 1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。

そのため、居住賃貸用に建物を購入した場合であっても、その購入価額が税抜き1,000万円未満であれば、『居住用賃貸建物』に該当せず、仕入税額控除することができます。
【例外的に仕入税額控除できるケース】

『居住用賃貸建物』購入事業年度を含めて3年以内に当該建物を売却した場合

⇒購入時に支払った消費税の一部を販売時に
 仕入税額控除できる
『居住用賃貸建物』に該当して購入時の仕入税額控除の対象外となった建物を、購入事業年度を含めて3年以内に売却した場合、例外的に、購入時に支払った消費税の一部を販売時に仕入税額控除することができます。
次のページでは、第3課税期間末日までに売却した居住用賃貸建物の消費税仕入税額控除について具体的にご紹介します。